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ひっこりんの冒険

ひっこりんの青春2

    hikkorin04
ひっこりんの青春もいよいよクライマックス

【下宿生活】
大学2年の後半に付き合いだした彼女は、時々四畳半のぼくの下宿に遊びに来るようになりました。最初はクラスメイトと一緒に、そして一人で訪ねてくるようになりました。
一緒に過ごす時間がたまらなく嬉しかった。
でも、ひっこりんには沢山の思いやりに満ちた合気道部の面々や同じ下宿に住む後輩たちがいて、彼女が来ると、必ずドアをノックして押し入ってくる。お酒を飲んだり、青春を語ったり、むさっくるしい男の下宿で気の良い仲間たちに囲まれた彼女はとても素敵に感じた。
彼女が初めてぼくの側で一晩を過ごした時、一生放さないと心に誓いました。

【美人】
時々彼女と一緒に遊びに来る女性友だち(同じゼミの仲間)に一つ年上だがすごく美人ですらっとした女性がいました。その女性は謎の多い女性で、文学関係に長じ、化粧はしていないけれど、新聞社やTV局に出入りし、夜の街もよく知っていました。いつか新聞社の中年の社会部の記者に恋をしているといっていました。
バンカラなひっこりんとキュートでかわいい彼女。そしてすらっとして美人な彼女の3人の関係は3年の終わり頃まで良く大学の学食やミルクホールで見かけることが出来ました。以前彼女たちを取り巻いていた男の子たちも、あまり近づいてこなくなりました。ひっこりんがいると、遠くの方から大きな声で後輩の挨拶があり、同期の合気道部員が寄ってきていたセイもあります。彼女たちは大勢の学ラン集団に守られていたんです。
集団の怖さをよく知っているはずのひっこりんも自分がそのような中心にいたなんて、皮肉なことです。

【城山の石橋の上で】
大学3年5月
ひっこりんが合気道部の校内合宿で校舎の近くの城山。大学院の隣の合宿所で生活していた時のこと。
稽古のため大学の道場へ向かうため城山の堀にかかった石橋を道衣を着て歩いていた時、その美人の彼女がいるのに気づきました。彼女もひっこりんに気づき走り寄ってひっこりんの胸に飛び込み泣き出してしまいました。
しばらくその場で彼女が泣きやむのを待ち、彼女に事情を聞きました。話によるとクラスの男子学生にひどいことを言われそれでひっこりんに合いたくなって合宿所に来たとのことでした。事情はともかくひっこりんは女性を泣かせるようなやつは許せませんでした。男子学生のいる講堂へ行きその男子学生の胸ぐらをつかみ、「二度と彼女に手を出すな」といってしまいました。彼はひっこりんのあまりの勢いに怖じ気づきもうしないからと謝りました。道衣のままの姿であんな行動をとったひっこりんは後になって自分の行動がとっても恥ずかしくおもいました。合宿所にもどったひっこりんは彼女にそのことを告げ今日は返るようにとさとし道場に向かいました。その日のひっこりんの稽古は全然気のはいらないものになったのは言うまでもありませんでした。一部始終を目撃した後輩たちに冷やかされました。変な伝説を作ってしまいました。

【偽りの同棲生活】
大学の4年生
大学が郊外に移転することになりひっこりんも下宿を替わる必要が出ました。
そんなとき、例の美人の彼女に或る相談を受けました。付き合っていた新聞社の中年の社会部の記者が彼女の下宿に良く行くようになり、困っている。形だけでも一緒に生活しないか。ひっこりんがいれば押しかけてこないから。ひっこりんには かわいい彼女もいるし手を出すようなこともしないので絶対に安全だから。彼女とも相談して決めてくれればいいからという内容です。
ひっこりんは大好きな彼女に相談に行きました。彼女にとっても親友の窮状でした。彼女はひっこりんのことがとっても心配だったと思います。でもOKしてくれました。友を助けるためだから。
でも、心配だった彼女は、親の許しを得てひっこりんと美人の彼女の隣のアパートに下宿することになりました。大学4年ひっこりんと2人の彼女の奇妙な同居生活が始まりました。
でも、愛する彼女にとってかなりつらい1年だったと思います。決して手は出さないと信じていても同じ部屋に若い男女が同棲生活をおくることになったのです。彼女の泣き顔をよく見ました。もっと側にいて欲しいと言われました。ひっこりんもそんな彼女を見ているのがつらかったです。心の中で、彼女だけを見ていたいと何度も何度も思いました。

【その後】
大学を卒業して2年ひっこりんは最愛の彼女と結婚しました。
美人の彼女はその後新聞記者と寄りを戻し、しばらくして少し有名な文芸作家と結婚しました。



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